WMSの使い方 - Polaris Engine Wiki

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WMSの使い方

Suika2のWMSのマニュアルです。


WMSとは

Suika2のシナリオスクリプトは、できるかぎりストーリーの自然な流れにフォーカスしており、複雑な条件で分岐を表現するのが苦手です。そこで用意されたのが、Suika2の拡張言語であるWMS。シナリオから呼び出すことで、複雑なプログラムをとても簡単に記述できます。少しでもプログラミング経験があればすぐに使えるように、非常に簡単な言語仕様にしてあります。


基本の使い方

例えば文字の色は conf/config.txt の中で次のように指定されていますよね。

font.color.r=255
font.color.g=255
font.color.b=255

WMSを使うと、これをゲーム中に変更することができます。

次のスクリプトを wms/change-color.txt として保存してください。

func main() {
    s2_set_config("font.color.r", "128");
    s2_set_config("font.color.g", "128");
    s2_set_config("font.color.b", "128");
}

そして、init.txt の中で次のように呼び出してみてください。

今から文字の色が変わります。
@wms change-color.txt
文字の色が変わりました。

使い方の基本はこれだけです。

今後はエフェクトなどのプラグイン制作も可能にしていきますが、現時点ではコンフィグの書き換えがメインの用途です。


文法

汎用的なプログラミングが行えます。ここでは文法について説明します。プログラミングが苦手な方は、あえて読む必要はないと思います。


プログラムは main() 関数から始まる

func main() {
    // これはコメントです
    print("Hello, world!");
}


関数は他の関数を呼び出しできる

func main() {
    foo(0, 1, 2);
}

func foo(a, b, c) {
    return a + b + c;
}


文字列変数による間接呼び出しが可能

func main() {
    myfunc = "foo";
    myfunc(0, 1, 2);
}

func foo(a, b, c) {
    return a + b + c;
}

func myfunc(a, b, c) {
    // この関数は呼び出されません。foo()が呼び出されます。
}


型と変数

プログラムは整数、浮動小数点数、文字列、配列の変数と値を利用できます。

func main() {
    // 整数
    a = 1;
    if(isint(a)) {
        print("a is int");
    }

    // 浮動小数点数
    b = 1.0;
    if(isfloat(b)) {
        print("b is float");
    }

    // 文字列
    c = "string";
    if(isstr(c)) {
        print("c is string");
    }

    // 配列 (整数インデックス)
    d[0] = 0;
    if(isarray(d)) {
        print("d is array");
    }

    // 配列 (文字列インデックス)
    e["abc"] = 0;
    if(isarray(e)) {
        print("e is array");
    }

    // 配列の配列
    f["key"] = e;
}


計算

整数と浮動小数点数は加算、減算、乗算、除算が可能です。

整数は下記のようになります。

a = 1;
b = 2;
c = a + b;
// a += b; の形式はサポートされていません。

また、浮動小数点は下記のようになります。

a = 1.0;
b = 2.0; 
c = a + b;

整数と浮動小数点数を組み合わせると、結果は浮動小数点数になります。

a = 1;
b = 2.0;
c = a + b; // cは浮動小数点数

整数は除算の余り(剰余)を求めることができます。

a = 3;
b = a % 2; // 結果は3÷2の余りである1

文字列は+で連結可能です。

a = "aaa";
b = "bbb";
c = a + b;

文字列+整数は文字列ですが、整数+文字列は整数です。


ループ

指定した回数の繰り返し:

func main() {
    for(i in 0..9) {
        print(i);
    }
}


配列の値についての繰り返し:

func main() {
    a[0] = 0;
    a[1] = 1;
    a[2] = 2;

    for(v in a) {
        print(v);
    }
}


配列のキー/値ペアについての繰り返し:

func main() {
    a["key1"] = 0;
    a["key2"] = 1;
    a["key3"] = 2;

    for(k, v in a) {
        print(k + "=" + v);
    }
}


単純な while ループ:

func main() {
    a = 10;
    while (a > 0) {
        print(a);
        a = a - 1;
    }
}


break と continue:

func main() {
    for(i in 0..9) {
        if(i == 2) {
            continue;
        }
        if(i == 7) {
            break;
        }
    }
}


分岐

プログラムは if - else if - else で分岐できます。

func main() {
    a = foo();
    if(a > 10) {
        print("a > 10");
    } else if(a > 5) {
        print("a > 5");
    } else {
        print("else");
    }
}

func foo() {
    return 6;
}


配列

配列の要素はキー(インデックス)を持ち、キーには整数、浮動小数点数、文字列が使えます。 1つの配列の中で、整数、浮動小数点数、文字列のキーを混在させられます。

配列を作成するには、値を [key] の文法で代入します。

func main() {
    a[0] = 0;
    print(a);
}

配列の要素を削除するには、remove() を使います。

func main() {
    a[0] = 0;
    remove(a, 0);
    print(a);
}

配列の要素数を取得するには、size() を使います。

func main() {
    a[0] = 0;
    print(size(a));
}


型変換

整数から文字列:

s = "" + 123;

浮動小数点数から文字列:

s = "" + 1.23;

整数から浮動小数点数:

f = 0.0 + 123;

文字列から整数:

i = 0 + "123";

文字列から浮動小数点数:

f = 0.0 + "1.23";

文法については以上です。


Suika2 エンジンの呼び出し

Suika2 エンジンの本体は、WMSからエンジンを操作するための関数を提供しています。これらの関数は名前に s2_ という接頭辞を持ちます。


フラグ用変数の値を取得する

s2_get_variable() はフラグ用変数のインデックスを受け取り、フラグ用変数の値を返します。

value = s2_get_variable(100);


フラグ用変数の値を設定する

s2_set_variable() はフラグ用変数のインデックスと値を受け取って、フラグ用変数の値を変更します。

s2_set_variable(100, 1);


ランダムな数(乱数)を取得する

s2_random() はランダムな整数を返します。戻り値の範囲は 0 から 9999 です。

value = s2_random();


コンフィグを書き換える

s2_set_config() はコンフィグ名の文字列と、コンフィグ値の文字列を受け取り、コンフィグを書き換えます。

s2_set_config("msgbox.x", "0");
s2_set_config("msgbox.speed", "20.0");

かつてはs2_reflect_*_config()がありましたが、現在ではこれを呼び出さなくても即座に画像やフォントは自動で再読込されます。よってs2_reflect_font_config()は現在では、何もしない関数になっています。

WMSの具体例

wmsの具体例 を用意していますので、あわせてご覧ください。